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2006.07.13

日本沈没 第二部

日本沈没第二部が7/8に小学館より発売されました。
前作(光文社カッパノベルス刊上下巻)が発売されたのは1973年ですから33年も経っての続編、そして完結です。

当時東宝の映画を観てからこのベストセラー小説を買いました。
小学生6年の時でした。
上下2巻2段組の小説はボリュームがあり、その内容も専門的な用語の連続で苦労して読んだ覚えがあります。
下巻の最後に第一部完と記されていて第二部がいつ発表されるのかずっと待っていました。

映画館でも続、日本沈没のスピードポスターが貼られました。
その後時間が経過し当時40代の小松左京先生も年齢を重ね、たぶんもう第二部は書かれないのだなとあきらめていました。

新作の映画のHPを観て、日本沈没の第二部のことを知りました。
そして著者名に小松左京に並び谷甲州氏の名前がありました。
小松先生が自分だけでは仕上げられないと思い谷甲州氏に共同執筆を依頼したそうです。
こういう手があったのですね。

物語は前作の年代設定から25年たった時代です。
祖国を失った日本国民は世界に散らばって避難しており、さまざまな困難に直面しいています。
そして国土を失っただけではなく日本沈没後に生まれた世代は本来の日本人の価値観とは違うようになってきています。
それは新しい土地で生きていくための変化でもあります。

しかし日本人の本質が変わって行くことを懸念する日本の首相(国土は無くなっても日本政府という定義は存在しているのです)はそれをくい止めようと計画します。

一方、日本沈没の影響で地球にはさらに問題が起きてきます。

物語の中で沈没前の日本を知る者が久しぶりに日本食(魚の干物、塩を振っただけのきゅうり、貝の吸物、白米)を食べる場面があります。
彼は避難先の新しい土地ではコーラで流し込むような食事に慣れていました。
しかし長いこと忘れていた懐かしい味に体面も気にせずに無心に料理を口に運びます。うっかりすると白米だけ続けて食べそうだったという描写が心情を良く表されていました。
そんな日本食も日本沈没後に生まれた世代には特別好むべき料理ではなくなっています。

新作の映画の宣伝文句で日本人は国土だけでは無く心まで失ってしまうのか、、とありました。
現在の現実日本でも前記ような食の嗜好の変化は珍しい事ではなくなっていると思います。

日本人の本質とは何かということを改めて考えさせられました。

長いブランクを経ての物語の続きということで内容に期待していた半面不安がだいぶありました。
なにしろ第一部の登場人物たちに思い入れがありすぎてその後を知るのが怖いほどでした。

日本を脱出した者達がその後どんな状況に置かれていたのかがしっかりと描かれていました。
そして第二部を読み終えて、前作から引きずっていたものがすっかり晴れました。

もう少し無理を言わせてもらえば、この原作で1973年版映画の続編が製作されることを期待します。
前作の時代からほぼ同じ時間を経過した作品世界なので前作映画の登場人物が再出演しても違和感が無いはずです。
33年ぶりに懐かしい登場人物に再会させてくれた小松左京先生の執念、そして谷甲州先生に感謝したいと思います。

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