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2004.10.04

まあだだよ 諸君!素直に 

最近、黒澤明の作品を見直して改めてその良さを感じました。

TVで放送された七人の侍、用心棒の印象が強く、またそれ以前の作品は、見る機会がありませんでした。影武者、乱の頃には偉くなりすぎて敬遠さえしていました。
撮影に邪魔な家の二階部分を撤去させたことなど、完璧主義ゆえの撮影中のエピソードを聞き、余計に敬遠していたのかもしれません。

しかし、改めて監督の作品を見ると、どれもが楽しめる、しっかりした作品ばかりということに気がつきました。
初期の作品についても古さ(最近の映画でさえ、5年ぐらいでとても滑稽に見える映画がたくさんあります)を感じるどころか、作品の輝きはまったく失われていません。
今まで見ていなかったことをいまさらながら後悔しています。

まあだだよ 黒澤明監督 1993年 大映

まあだだよについても、公開当時、所ジョージが出演していることと、予告編でのまあだかい、まあだだよの場面ぐらいしか印象に残っていませんでした。

見ている間、とてもあたたかい気持ちになれる作品です。
内田百閒(松村達雄)と教え子たちの交流が淡々と描かれています。

かわいがっていたノラ猫がいなくなって悲しむ先生のために、空襲で焼かれた先生の家を探すために、先生の家が新しく建てられる家で日陰にならないように、教え子達は先生を助けます。

信頼される教師、そしてそんな教師を慕い、彼のために奔走する教え子たちを見ていてうらやましくなりました。
教師と教え子たちが酒を飲む場面が何度も出てきます。
それは教え子が持ち寄ったビールであったり、一升瓶の日本酒であったり、またアルコールにお茶で色をつけ砂糖で味付けした、にせウイスキーなど、どれもとてもおいしそうです。
監督がとてもやさしい目線で登場人物たちを見つめているのを感じます。
教師を囲んでの宴会の場面、教え子たちがおいちに、おいちにと掛け声をかけて行進しながら合唱する。無邪気なその姿は見方によっては滑稽にさえ見えますが、こんなにも慕う人によってみんなが楽しい気持ちになれることをうらやましく思います。この場面撮影は大変だったと思いますが、演じている役者さんはみんな本当に楽しそうです。
(とくに所ジョージと小林亜星はニコニコして本当に嬉しそう)

松村達雄はどですかでんのめいに悪さをするおじの役とは違い、尊敬される人物を好演しています。
役者は有名になるとイメージが固まって、同じような役ばかりになってしまうことが多いですが、黒澤明作品では、常連の役者たちはその作品ごとにまったく違う役を演じています。

三船敏郎、志村喬、千秋実、藤原鎌足、みんなそれぞれの個性は主張しながら、みごとに作品ごとの役になっています。
そんなキャラクターの違いを見比べるのも黒澤作品の楽しみです。

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Comments

まあだだよ、良い映画ですよね。
当時、映画館で2回、その他にも文芸座で見ました。
何処かにパンフがあったような。

ちどりあしさん、LDを見ていまして
日本語吹替え盤がでていますが。
これって、TV映画、見たいな物ですか?
懐かしい人が吹替えている物があったら買ってみようと思いました。

Posted by: コタヌキ堂 | 2004.10.06 at 03:13 AM

コタヌキさんいらっしゃいませ。
LDの吹き替え版、ビデオの吹き替え版と同じです。
LDは言語選択できませんから。
でも中にはDVDの吹き替えと役者が違っていたり、結構貴重かもしれませんよ。

Posted by: Chidori | 2004.10.08 at 12:06 AM

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