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2004.09.19

どん底 黒澤明 自分探しの旅

川原の石ころさ、さんざん揉まれて丸くなったのさ
御遍路の嘉平(左卜全)が優しくされて感謝するあさ(三好栄子)に言う台詞です。
揉まれ続けて丸くなるにもそれなりの資質が必要でしょう。
この長屋では丸くなる前に破滅してしまう者もいます。

どん底 黒澤明監督 1957年 東宝

江戸時代のゴミだめのような貧乏長屋に暮らす人々の物語。
原作はマクシム・ゴーリキーでジャン・ギャバン主演でも1936年にすでに映画化されています。
美術の村木与四郎による長屋のリアルな表現(まさしくどん底の掃き溜め)は画面から匂いまで感じられる錯覚を起こすほどです。

物語はほとんどが長屋の中で進行し、まるで舞台を観ているようです。
数台のカメラで一緒に撮られた映像が編集されたことで、舞台のような臨場感はより増しています。

数多い登場人物それぞれが主人公ですが、中でも嘉平(左卜全)の良い台詞がたくさんあります。

「これでも随分女は知ってるよ、抜けた髪の毛の数ほどな」泥棒の捨吉(三船敏郎)と大家の女房お杉(山田五十鈴)の関係を心配し忠告する嘉平。
嘉平も若い頃、女がらみで修羅場をくぐっています。捨吉に昔の自分をだぶらせているのかも知れません。

「死んだものは何もしないよ、怖いのは生きてる奴だ」
あさが死んだことにおびえる、かよ(香川京子)をなだめる台詞。

長屋を去る嘉平に行き先を訊ねる捨吉。
「それが分からねえから出掛けんのさ。どっかにもっといい所がある誰でもそう思ってさがしているのさ」
見つからないと言う長屋の住人に答える嘉平
「見つける気さえ無くさなきゃきっと見つかるよ」

やがてどん底のような長屋の住人達にも自分の行き先を探す時が来ます。

佐藤勝が音楽を担当していますが劇中の音楽はほとんどないのですが、長屋の住人たちが声で演奏する囃子は印象深い場面です。


北野武は黒澤作品が好きなようで、座頭市でのタイトルはこのどん底とそっくりです。
また座頭市でのラストのタップダンスは、隠し砦の三悪人へのオマージュでしょう。


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