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2004.09.12

白痴 黒澤明 オリジナルを見たい!

黒澤作品で度々出て来るテーマ、人間は見かけと中身がいかに違うのか。

白痴 1951年 黒澤明監督 松竹

亀田(森雅之)は戦争の影響で精神に異状をきたしてしまう。彼は自分が白痴であると認識している。
しかし、他人に対する無垢な思いは常人以上である。
その無垢な思いに対し、己の弱さで自我を崩壊していく周囲の者たち、、、

hakuchi.JPG

周囲の人間は彼をべっ視するが、そんな周囲の人間の行動の方が亀田よりも異常に見える滑稽さ。
ドフトエフスキー原作のこの作品は編集前は4時間以上あるそうです。
さすがにその長さでは興行に影響するので2時間46分にカットされました。そのため突然画面に現れた説明のみで一部分の物語がはしょられてしまっています。
オリジナルのフィルムが残っているのであれば見てみたいですが、現在までオリジナル版が上映されないのはすでにフイルムが存在しないのでしょう。

映画において監督と会社で意見が対立することは多々ありますが、場合によっては監督のこだわりが正しくないこともあります。
黒澤明は当時、切るのならフイルムを縦に切れと言って激怒したそうです。
少し後ならもっと力があったのでしょうがこの時点では涙を飲んだのです。(天国と地獄 1963年では撮影に邪魔な家を撤去したぐらいですから)

芸術と商売のバランスを取るのはむずかしいと思いますが、試写で客受けの好い結末だけ選んで作った結果が最近のハリウッドの作品なのでしょう。

短縮されたこの作品でさえも、作品の持つ力に圧倒されます。
イタリア料理のフルコースを食べたような感じです。

亀田役の森雅之は本名有島行光で有島武郎の長男です。1911年生まれで当時40歳、赤間役の三船敏郎は当時31歳です。
後に悪い奴ほどよく眠る(1960年)で共演したときには、49歳とは思えない老け役(三船の義理の父役)で別人のようでした。

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Comments

ドフトエフスキーか、10代の夏、暑い盛りに
罪と罰を読み、衝撃を受けました。
あの衝撃は10代の僕だったからでしょう。

飯を食う時に飯、糞をする時に糞、その時、その時に
僕の10代はドフトエフスキー、夏目漱石、椎名麟三…と
良い作品にふれたこと、映画と言うのも、同じなのかな?

Posted by: コタヌキ | 2004.09.13 at 01:15 AM

「白痴」完全版は現在、とある場所に残っているそうです。

 熊井 啓監督が四国まで足を運んで確認していますから、実際にあるのでしょう。

 現在発売されているDVD(2時間46分版)では全容が解りません。筋書きも唐突な感じがするのを否めません。
 完全版は傑作だと聞き及んでいます。
これを何とか観られるように画策出来ないものでしょうか。
 映画はモノクロで撮影されていますから、色彩の褪色は問題なし。後は年月を経ているための場面をデジタルリマスターでカヴァーすればよいだけです。
 この映画の支持者は、年とともに増えるばかりです。
 何とか近いうちに、上映にこぎつける努力を、映画関係者に強く望みます。

Posted by: 橋本 英一 | 2013.10.05 at 06:56 AM

橋本さん、コメントありがとうございます。フィルムが残っているのを知って驚いています。ぜひ完全版を観たいですね。劇場で!

Posted by: ちどりあし | 2013.10.05 at 12:36 PM

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