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2004.08.31

どですかでん 黒澤明 季節のない街の人々

電車好きの六ちゃん(頭師佳孝)は自分では運転手のつもりです(彼は少し知的障害です)
どですかでん、どですかでんと言いながら街中を走りまわります。
どですかでん 黒澤明監督 1970年作品

乞食の子供は父親(三谷昇)との食事のため、街の食堂をまわって残飯を集めています。
食堂で、くわえ煙草の厚化粧のウエイトレス(塩沢とき)は残った料理に煙草の吸殻をかけて、食べ物は無いと子供に冷たく言います。
しかし厨房にいる主人(桑山正一)はかわいそうにと別の残った料理を分けてあげます。

すし屋で魚は煮てからたべるようにと店主に言われ残り物をもらいます。

持ちかえった残飯をに火を通そうとする息子に、
「これはしめ鯖といって酢でしめてあるから煮たりしたらいかんよ、、」と言いそのまま二人で食べてしまいます。
廃車を住家にしている親子の楽しみは自分たちがいつか住む家について語り合う事です。
門の形や建物の色や構造を息子に聞かせる父親。
幼い息子はそれを無心に聞いています。
所詮かなうはずのない空想ですが、貧しさも彼らの夢の中までは入って来られないのです。
やがて息子は食中毒で死んでしまうのですが、悲惨な物語なのにとてもやさしい感じがするのはなぜでしょうか。

顔面神経痛で足の不自由な島(伴淳三郎)は、友人を家に招待する。
愛想が悪い妻(丹下キヨ子)に腹を立てた友人に妻の文句を言われことで友人(下川辰平)に怒りつかみかかる。
他人から見ればどうしょうも無いように見える妻も島にとっては共に苦労をしてきた大切な存在なのです。

風変わりな登場人物たちすべてが他人からは変わって見えます。
悲惨にみえたり、風変わり、変人、貧しい、哀しい、滑稽な、とそれは様々ですが、他人から見た姿と本人が実際に感じているのとは違うものです。

ブラシ職人の沢上良太郎(南伸介)は大勢の子供と暮らしていますが、近所では、全て違う男と妻との間に出来た子供と噂されています。
そんな噂を父親に問いかける息子に言います。
「他人がなんと思おうとお前等はみんなとうちゃんの子供だ。おまえはとうちゃんの言う事より他人のことを信じるのか?」
六ちゃんのことを不憫に思う母親おくに(菅井きん)は毎日お経をあげて祈っていますが、六ちゃんはそんな母親は頭がおかしいと思っています。

街の中を六ちゃんにしか見えない機関車にのって走り回る姿は、普通ではありませんが、いつも見慣れている街の住人には見慣れた日常の光景です。
そして六ちゃんにしか見えない線路に立っている他の住人のほうが変わって見えるのです。

山本周五郎の原作(季節のない街)を映画化した黒澤明監督のはじめてのカラー作品です。
一風変わった登場人物たちが住む貧しい街での物語は現実離れした鮮やかな色で飾られています。

それまでの黒澤作品とは雰囲気の違う作品で、公開時にもあまりヒットしなかったようです。
しかし、後の黒澤作品の色使いなどを感じることができます。
物語の設定がスラム街のようなところに住む人々なので、好き嫌いがかなり分れた作品でしょう。


下川辰平さんが亡くなったとき、TVの芸能レポーターが、下川さんは生前、黒澤作品に出られなかったことを残念がっていたと伝えていました。
出番は少ないですがちゃんと出演しているのに、、、


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Comments

どですかでん、目に浮かんで来ました。
車、そして、役者の顔色が…

Posted by: コタヌキ堂 | 2004.09.01 at 01:35 AM

>下川辰平さんが亡くなったとき、TVの芸能レポーターが、下川さんは生前、黒澤作品に出られなかったことを残念がっていたと伝えていました。
出番は少ないですがちゃんと出演しているのに、、、

「どですかでん」の芝居を気に入った
黒澤監督が「影武者」「乱」への出演依頼もしたのですが「太陽にほえろ」があったので泣く泣く断ったそうです。

「雨あがる」に出演されているのは
そういう理由もあったようです。

Posted by: 壱 | 2007.02.17 at 03:23 PM

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