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2004.08.29

怒る大人たち 酔いどれ天使 黒澤明

主人公の医者 真田(志村喬)は常に怒っています。しかしそれには正統な理由があるのです。
また彼は人間が好きだからこそ、他人でさえ放っておけずについ怒ってしまうのでしょう。
偶然出合ったやくざの松永(三船敏郎)に対する怒りもそんな気持ちからです。

酔いどれ天使 黒澤明監督 1948年 東宝作品

真田の怒りは前向きな怒りです。貧困や病気、悪に対する怒りでありそれに立ち向かう気持ちの表現が怒りになって現れます。どぶのような池で遊ぶ子供たちをしかるのも子供たちを思ってのことですが当の子供たちは単なるうるさいおやじとしか思っていないようです。
私が子供の頃はこんな大人がたくさんいました。今では子供に注意しても変人扱いされてしまうかもしれませんが。

一方松永の怒りは真田の怒りとは違い自分への怒りです、それは反社会的な存在である自分を認めさせるための他人へのアピールであり、また本当は認めたくない自分への怒りです。

やがて松永の怒りは結核に冒された自分を救おうとする真田の気持ちに答えられない自分に対する怒りに変わっていきます。

松永の兄貴分の岡田が出所し、真田の病院を手伝っているかつての岡田の情婦だった美代をたずねてきます。
美代を助けるために、真田の気持ちに答えるため松永が選んだことは彼にとって悲劇的な結末を迎えます。

うなされた松永が夢の中で棺おけに入った自分に対面する場面などは後に色々な映画で引用されています。
物語は夏に始まりますが、撮影は冬だったようで夏の場面でも白い息が写っている場面があります。
完璧主義の黒澤監督としては、出来上がりを見てはがゆい思いをしたことでしょう。

古い作品でもあり音声が聞き取りにくい箇所があるのですが、こんなときにDVDで日本語字幕が表示できるのはとても便利です。


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Comments

黒澤明、特集?は良いね。
家の昔、買ったパンフや本があるけど、なかなか
処分できないです。そう言えば、昔、BSで黒澤明特集があったのですが、また、ないかと思っています。

映画館で、黒澤明、特集があれば見に行きたいですね。

Posted by: コタヌキ堂 | 2004.08.30 at 12:23 AM

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