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2004.07.18

黒澤明 野良犬 エアコンに感謝

1949年、まだ終戦後間もない頃、刑事村上(三船敏郎)は拳銃をすられてしまう、やがてその拳銃が強盗事件に使用されて、、暑く長い夏の物語が始まります。
黒澤明監督 1949年東宝作品 野良犬をDVDで観ました。

norainu.bmp

うだるような暑さの中、村上は町を歩き回ります。走る自動車も少ない道路、混雑した乗り合いバス、軒を連ねる屋台(鯨カツの看板も見えます)、バラック小屋のような家等が描かれています。
麻のジャケットの背中一面に染み出る汗、生ぬるい空気をかき混ぜるだけの扇風機の音、レビューの楽屋での踊り子の身体に流れる汗、木賃宿の光景、これらのエアコンなど無かった頃の気温、体温がみごとに描かれていて、それは観ているこちらが気分が悪くなるほどです。

しかしこれらの描写に対比して映し出される場面、コップに注がれたサイダー、スリの女が村上に差し出すビール、ハーモニカの音、夕方縁側で配給のビールを飲む村上と佐藤刑事(志村喬)、犯人をかばうハルミ(淡路恵子)のゆかた姿、夕立、たびたび出てくるアイスキャンデーなど、暑さの中でこその心地好いものが描かれています。
佐藤刑事が村上を招待した家で出迎える幼い子供達。
抱きついてくる子供たちに「おまえたちは暑いな」と微笑む佐藤。これもここち良い暑さです。
けっして立派では無い佐藤の家、しかしそこでは質素ながら幸せな生活があります。寝ている三人の子供を見守るやさしい笑顔の村上、佐藤、佐藤の妻。ここでは村上と佐藤にも捜査の時の険しい表情はありません。

捜査で訊ねた、犯人遊佐(木村功)の住む家を思い出し「私の家もあばら家だが、あれは人の住む場所じゃないな、悪い環境では人間も悪くなる」と言う佐藤。
村上は戦場では人間がどれほど簡単に残虐になるのかを佐藤に話します。村上も犯人の遊佐と同じ復員兵で、遊佐の生活を変えてしまった復員中に荷物を盗まれたことでも共通していました。違うのは村上は犯罪者にならなかったことです。
一ヶ月6000円で暮らせと語る佐藤、その後の事件で遊佐に妻を殺された主人はたった50000円のために妻が殺されたと泣き叫びます。立派な家に住む彼はその後妻を殺された悪い環境でどう生活するのでしょうか。もしかすると遊佐のように人間の悪い面に引き込まれてしまうのかも知れません。

劇中にレビューの場面があります。華やかな舞台の後、狭い楽屋で倒れこむように休んでいる踊り子たちの身体に流れる汗。エアコンが無い時代、ライトに照らされて踊る事は大変な重労働だったのですね。

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